運命の一本に出会う、ということ リンユーの東伏見日記vol.3

お題「邦画でも洋画でもアニメでも、泣けた!というレベルではなく、号泣した映画を教えてください。」

映画を見て23歳にもなろうという男が号泣するのって、不思議だと思う。

だって自分の話じゃないし、主人公を知ってから長くても2時間しか経ってないし、特に洋画なんて、字幕がないと何言ってるかすらもわからない遠い異国の話だし。

 

それでもたまに、見ていて鳥肌が立つような、自然と涙が溢れてくるようなそんな一般の映画に出会うことがある。それは自分と主人公の境遇が似てたとか、何かが心に響いたとか、そんな単純なことではなく、自分にとって特別な何かがあるいわゆる「運命の一本」なのだと、僕は思う。

 

僕にとって「ゴースト/ニューヨークの幻」はまさにそんな一本だ。

いわゆる泣かせに来るような映画というわけではなく、ろくろのシーンが有名な90年代の名作映画の一本ではあるが、泣ける映画として真っ先に名前が上がるような映画ではないと思う。

30年以上前の映画ということもあり、CG技術は思わず二度見してしまうような物だ。主人公が死んで、幽霊になり復讐と愛を果たすと言った割とありがちなストーリーだし、主人公は映画が始まって20分ぐらいであまりにあっさりと通り魔に殺されてしまう。そんな映画だ

 

でも、なんだか泣けるのだ。

憧れが合っても手が届かない、90年代のアメリカの生き生きとした情景、ウーピー・ゴールドバーグ演じる霊媒師のコミカルな演技(これはまじで必見!)、その中で奮闘する主人公の姿に、自分が体験したはずのない思い出への懐かしさが重なって泣けるのである。

ネタバレになるのであまり深くは語らないが、主人公サムと恋人モリーが合言葉で通じ合うシーンなんてもう、本当に体の深くから感情が込み上げてくる。

 

もちろん、皆さんに見てほしい映画であるが、それよりも自分にとってのそんな一本に、映画好きもそうじゃない人も出会ってほしい。

 

そんなことを考えながら東伏見から今日も電車に乗って、都心へ向かう3月末である。

ゴーストの主題歌、アンチェインド・メロディーを聞きながら